安本療法

安本療法とは            CND臨床心理研究所 代表 宮崎和起

 私の恩師である安本和行先生が、50年にわたる臨床経験の中から築き上げてきた、現場主義に基づく心理理論の集大成である。安本理論の中核はいかにして情緒の安定をさせるかにある。強迫的、神経症(質)、対人恐怖、うつ、無気力、心身症など多く見られる心の病は対人的な関わりや状況によって影響されつづけている。心の発達には養育してくれる人々との暖かい人間関係が必須であり、それが得られない時に心はしばしば病的に歪んでいく。この意味で人間関係(特に母子関係)の在り方は心の発達を保証するし、心の病も準備する。心に病をもつ人達は共通して過剰過敏、極度緊張と過剰抑制があり、多く本人には身体的緊張の自覚がなしに疲労感だけを訴えてくる。そんな人達に自律訓練、リラクセーションは非常に効果的ではあるが、慢性的な緊張や疲労感が蓄積しているときには、自律訓練をやってもイライラしたり、効果がその場限りとなってしまうことが多い。特に障害児(者)は不安感が強く、「落ち着きがない」「わがままである」「待てない」「すぐにカーッとする」などの症状が顕著に現れ、不自然な動作パターンがある。両者に共通する不自然な動作の不安感は、心の土台となるべき愛情のぐらつきにより起こる。不幸にも愛情をどう与えていいのかわからない母のもとで育ったり、様々な状況下で愛情をもらい損なった人達は、こころの安定を失っていく。いかにして土台を安定させるか、生物に必要な愛情を与えられるか、そこに焦点を鋭く当てたのが、安本療法の情緒安定訓練である。

 安本先生は母、家族、環境から与えられる音、言葉、リズム、そして何よりも皮膚接触(刺激)を、愛情(快信号)として自然に受け入れた時に初めて、人間の情緒は安定し自立へ向かう、と考えた。私は安本療法コスモ訓練をいろいろなタイプのクライエント及び健常児(者)に使ってみた。また、中枢神経系の過剰興奮、抑制の自動調整の働きが欠けていると言われる障害児(者)にも使った。その結果、「眠れない(不眠)」「疲れきっている(疲労感)」「対人関係がうまくいかない(緊張)」「学校に行きたくない(不登校)」など、訴えている症状に対し、身体も心も充分にゆとりのある自己コントロール状態を作れるようになった。障害児(者)も驚く変化が起きた。「偏食がなくなる」「落ち着きが出てきた」「オオム返し、つば吐きが少なくなる、なくなる」「待てるようになる」「寄り道ができる」「排便、排尿漏らしが少なくなる、なくなる」等の変化が起きた。

 愛情(快信号)を自然に肌で受け取れる自己があって、はじめて身体も心もリラックスし、あらゆる物を吸収し人間、生物が本来持っている「自己成長機能」が発現され社会環境に適応していくのである。子供とのかかわり方がわからなく育てられた大人達自身も、発達段階の快信号(愛)の空洞化をあやし、癒され、自立、適応し、自然に関わり合え、生活を「楽しく」営むことができるようにと生まれたのが、安本療法コスモ訓練である。

詳しくは  YASUMOTO FOND TALKING THERAPY  へ